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理事長挨拶
北海道大学の脊椎外科は、第四代主任教授金田清志先生を祖とし、多くの脊椎外科医を輩出してきました。黎明期には臨床・研究・教育を大学が全て担っていましたが、北海道内にも多数の脊椎外科医を擁する中核病院が増えるようになり、それぞれが国内だけでなくグローバルに活躍するようになりました。
将来にわたって臨床・研究・教育でトップレベルを維持する目的で、これらの力を結集して、NPO法人北海道脊椎脊髄外科研究グループが設立されました。
柱となる活動は、①脊椎外科医を育てること、②多施設共同研究を含め世界に通用する臨床研究を行うこと、③社会への貢献、の3点です。
①脊椎外科医を育てること(安全な高度医療のために)
脊椎外科は、脊髄・神経を損傷しないように細心の注意を払って手術を行わなければならず、また時には大血管など重要臓器のそばで手術操作を行うことから、安全を担保した上で高度な技術が要求されます。
しかし、脊椎外科医を育てるには多くのマンパワーと時間を要します。「脊椎脊髄外科専門医」は、新専門医制度のもとではサブスペシャリティ領域に位置します。これを取得するためには、2年間の初期臨床研修ののち、4年間かけて基本領域である「整形外科専門医」を取得し、さらに2年間の「脊椎脊髄外科」研修を行い、試験に合格して晴れて「脊椎脊髄外科専門医」となります。医師になってから最短で8年間の研修を要します。さらに、執刀症例・学会発表・論文執筆を重ねて、指導者となる「脊椎脊髄外科指導医」を取得するまでには卒後10数年の歳月を要します。
北海道地区には、2024年時点で、北大関連の脊椎脊髄外科専門医基幹研修施設が10施設(北大、北海道医療センター、札幌整形外科、函館中央病院、北海道整形外科記念病院、北海道せき損センター、我汝会えにわ病院、市立札幌病院、帯広厚生病院、釧路労災病院)あり、充実した指導体制をとれる環境にあります。
北海道での安全な高度医療のために、脊椎脊髄外科専門医、指導医を育成していきます。
②多施設共同研究を含め世界に通用する臨床研究を行うこと
個々の施設からの臨床研究はもちろん非常に貴重ですが、多施設共同研究は症例数・研究のスピードアップといった大きなメリットがあります。当NPO法人に参加する施設は、すべて北大の同門であるため、治療方針・手術手技はある程度均一化でき、調査項目を統一することができます。エビデンスレベルの高い臨床研究が可能です。
これまで6つの多施設共同研究が行われています。以下のように、いずれも質の高い医学雑誌に採用され、成果が公開されています。若手研究者のモチベーションは高く、今後も臨床研究を発展させていくことが大いに期待されます。
1. Watanabe T, et al. Perioperative complications of spine surgery in patients 80 years of age or older: a multicenter prospective cohort study.
J Neurosurg Spine. 2019 Dec 17:1-9.
2. Fujita R, et al. Retrospective study to evaluate the clinical significance of a second rise in C-reactive protein level following instrumented spinal fusion surgery.
J Orthop Sci. 2019 Nov;24(6):963-968.
3. Suzuki R, et al. Thrombocytopenia Associated with Unrecognized Non-Alcoholic Fatty Liver Disease Is an Independent Predictor of Perioperative Significant Blood Loss in Cervical Laminoplasty.
World Neurosurg. 2021 Nov;155:e797-e804.
4. Takahata M, et al. Cervical Myelopathy Caused by Non-Rheumatic Retro-Odontoid Pseudotumor: An Investigation of Underlying Mechanisms and Optimal Surgical Strategy.Global Spine
J. 2022 Jan 10:21925682211069542.
5. Hisada Y, et al. Distinct progression pattern of ossification of the posterior longitudinal ligament of the thoracic spine versus the cervical spine: a longitudinal whole-spine CT study.
J Neurosurg Spine. 2022 Mar 4:1-8.
6. Endo T, et al. Association between obesity and ossification of spinal ligaments in 622 asymptomatic subjects: a cross-sectional study.
J Bone Miner Metab. 2022 Mar;40(2):337-347.
③社会への貢献
社会の高齢化に伴い、健康寿命(自立して生活できる期間)の延伸は、脊椎外科医の使命でもあります。骨粗鬆症は最も大きな課題であり、骨の健康維持・薬物療法の重要性について啓蒙していくことが重要と考えます。
また、脊椎脊髄医療は手術だけではありません。「痛みに対してどのような対処方法があるのか?」、「手術せずに治す方法はないのか?」、「どのようなリハビリをすればよいのか?」など手術以外の疑問にも答えていく必要があります。さらに、未だに聞かれる「手術したら車椅子になる?」という質問に対して、脊椎手術の安全性についても正しい理解を広げなければなりません。そのために市民公開講座を定期的に開催していきます。また、ホームページでは疾患や治療法の解説も充実させていきます。
北海道脊椎脊髄外科研究グループ
(Hokkaido Spine Study Group: HSS)
理事長 金山 雅弘
事業内容
(1) 脊椎髄疾患に関する疫学的研究事業
(2) 脊椎脊髄疾患の治療に関わる人々の教育事業
(3) 脊椎脊髄疾患に関する情報の社会に対する広報事業
(4) 脊椎脊髄疾患の治療に用いられる機材,薬品の有効性に関する受託研究事業
(5) 脊椎脊髄疾患に関する学術活動への支援事業
(6) その他,この法人の目的を達成するために必要な事業
理事・監事紹介
理事長
金山 雅弘
社会福祉法人函館厚生院
函館中央病院
副院長/総合医療支援センター長
理事
織田 格
医療法人北海道整形外科記念病院
理事/副院長
理事
須田 浩太
独立行政法人労働者健康安全福社機構
北海道せき損センター
院長
理事
山田 勝久
北海道大学病院整形外科
講師
理事
遠藤 努
北海道大学大学院
医学研究院整形外科学教室
特任助教
監事
武田 直樹
札幌整形循環器病院
監事
重信 恵一
はらや整形外科
顧問
橋本 友幸
社会福祉法人函館厚生病院
面館中央病院
名誉院長
顧問
伊東 学
独立行政法人国立病院機構
北海道医療センター
統括診療部長/手術部長/
脊椎脊髄病センター長
相談役
鐙 邦芳
北海道大学名誉教授
医療法人社団元氣会札幌整形外科
理事長